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フロントランナーに聞く

フロントランナーに聞く、呼吸器グループ 宿谷威仁 先生編

Takehito Shukuya
Profile
宿谷 威仁
順天堂大学医学部附属順天堂医院
  • 高濱

    WJOG呼吸器グループの第一線で活躍されている先生方の研究の話やお人柄がわかるような話をお伺いしたいということで、順天堂大学の宿谷威仁先生にお話をお伺いします。 まず、先生が肺癌診療に興味関心を持たれたきっかけを教えて頂けますか?

  • 宿谷

    初期研修の時に、癌には興味があったのですが、勉強の仕方もわかっていないせいか「どうしてだろう?」と思うことが多く、一度しっかり勉強したいと思っていました。初期研修の時の先輩のご紹介で当時静岡がんセンターにいらっしゃった山本信之先生(現WJOG理事長)とお食事をご一緒する機会があって、後期研修医を募集していることを知りました。結局は、後期研修医として順天堂大学の呼吸器内科に入局したのですが、高橋教授のご厚意もあり、静岡がんセンターで研修する機会を頂きました。静岡がんセンターでの研修では、実地臨床の楽しさや厳しさを山本信之先生や高橋利明先生(現呼吸器グループアドバイザー)から教えて頂きました。

  • 高濱

    WJOGとの出会いや印象を教えてください。

  • 宿谷

    静岡がんセンターでの研修中にWJOGの会議に出席しました。当時から、年齢の離れた上の先生方との距離が近いと感じていました。意見を言っても許される、というか発言して自分の考えを発信し、フィードバックを受けなければならないという環境で、それが良かったですね。グループ会議などでも、熱いディスカッションが行われていて、むしろ若手から意見が出ることを喜んでくれるような雰囲気でしたね。当時から、若手への教育を自然と意識してくれていたのかな、と思います。
    それで、静岡がんセンターでの研修1年目(医師6年目)のときに、WJOGで臨床試験を提案したんです。結果的には選出されなかったのですが、試験を立案する背景や根拠を考え、どういった患者さんを対象として、統計学的設定を考慮し、実現可能性まで考えるプロセスがものすごく貴重な経験になりました。 その経験を活かして、医師7年目のときに提案した臨床試験が採択されて、研究事務局を務めさせていただきました(WJOG5208L)。

  • 高濱

    WJOG5208LがASCOのoral sessionで発表された際は私もシカゴの会場で拝聴しました。事務局をされたご感想はいかがでしたか?

  • 宿谷

    山本先生、高橋先生、そして、統計家の山中先生達にご指導いただくという非常に恵まれてた環境で試験を実施できたと思います。他にも、試験を企画立案した際に、他施設の先輩方からも個人的なアドバイスやデータを頂いたりして、助けられました。また、WJOGデータセンターの中村慎一郎先生(前データセンター長)やデータマネージャーさんからも、プロトコルのレビューなどでたくさん支援をしてもらいました。今振り返ってみると、このような体制があったからこそ、研究事務局を務めきることができたと思いますし、今でもその当時教えてもらったことが活きていますね。

  • 高濱

    現在のWJOGにおいてどのようなお仕事されていますか?

  • 宿谷

    2023年まで、呼吸器グループにおいてデータ管理部会を担当していました。説明同意文書の文言を整理したり、二次利用が今後スムーズに行えたりするよう、環境整備をしていました。
    今後は呼吸器グループだけでなく、他の臓器グループとも一緒にこの活動を広げたいと思っています。

  • 高濱

    肺癌研究を志す若手の先生にメッセージを。

  • 宿谷

    私が最初にWJOGのグループ会議に参加したときの衝撃というか、日常診療や治療の歴史を変えてやる、っていうグループのみんなの熱い気持ちを感じてほしいですね。基礎研究があったり、臨床研究があったり、と色々な研究があると思いますが、最終的に研究の成果を患者さんへ還元するためには臨床研究は絶対外せません。その大切さを後輩の皆さんに伝えていきたいですね。
    WJOGは「西日本がん研究機構」だけど、関東でも興味を持つ先生は自分に気軽に声をかけて頂きたいですね。一緒に、患者さんのためになるように、標準治療を書き換えて、ガイドラインに採用されるような仕事を一緒にやろうぜ、って思っています。

  • 高濱

    本日はどうもありがとうございました。

宿谷威仁先生(順天堂大学医学部附属順天堂医院)
聞き手:宮脇太一(静岡県立静岡がんセンター)
聞き手:高濱隆幸(近畿大学)

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