委員長よりご挨拶
WJOG消化器グループは、全国から、こうした研究や臨床試験に参加したい、自ら試験をデザインし、研究代表者(PI)として引っ張っていきたい、と志願している臨床医が多く集まっています。消化器委員会の会員は、レトロの地道な研究を積み重ねている若手、トランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)のマインドを持った研究者、臨床試験に精通している中堅、数多くの試験のPIの経験を有するベテランなど、多種多様で多彩なオンコロジストの集団です。
そして、WJOG消化器グループでは、 消化器がんの治療成績向上に意欲と情熱を持った新しい仲間を常に求めており、広く門戸を開放しています。WJOG消化器グループでは、若手集団であるFLAGによる積極的な活動、月1回の消化器グループアドバイザー会議、年3回のグループ全体会議などを中心に情報共有を行い、アクティブで効率的な活動を行っております。消化器がん領域の新たな治療開発、消化器がん治療の常識を塗り替えるようなデータ創出を目指していきたいと願っております。皆様におかれましては、是非ともこれまで以上に積極的な臨床試験、医師主導治験へのご支援とご協力を宜しくお願い申し上げます。
室 圭
活動概要
WJOG消化器グループは、消化器がん領域における薬物療法の新たなエビデンスを創出することを目的として2007年に設立されました。現在、消化器グループには全国で100近い施設が参加し、多くの医師主導臨床試験・治験が進行中です。
これまで、医師主導臨床研究としては国内外の標準治療の確立に寄与した4つの第III相試験を実施し(WJOG4007G、WJOG4407G、WJOG7312G、SOS試験[韓国との国際共同試験])、その他にもランダム化第II相試験は8個、単アーム第II相試験は7個、観察研究/後方視的研究も16個実施してきました。また、医師主導治験としては進行胃癌を対象としたWJOG13320G試験を実施しており、臓器横断的に固形癌を対象としたWJOG15021M、WJOG15221Mも重要な役割を担っております。このような試験/研究を立案、実現するために、月1回のアドバイザー会議、および年3-4回のグループ会議において検討を行っています。
臨床試験・研究の企画、立案のみならず、臨床試験・研究における最新の動向について勉強する機会も積極的に設けています。具体的にはグループ会議の際の招待講演者による勉強会、m3とのコラボレーションによるweb講演会などを実施しています。また、エビデンスの創出のためには、国内のみならず海外の動向について知見を得ることが重要と考え、2017年からAIO(ドイツ癌学会医学腫瘍学協会)との共同研究会を毎年開催しています。
また、消化器グループの活動をさらに高めていくためには、若手の先生の活発な議論、提案、協力が重要と考えています。そのため、若手の先生が自由に議論できる場として2018年にFLAG (Field to develop next Leaders Activating WJOG) を設立し、最近ではFLAG主導で立案された試験・研究が実施されるようになっています。また、消化器グループのみならず、他グループとの交流の場として、WJOG主催の若手セミナーである「虎の穴研修」には特に力を入れて携わっています。
社会情勢や規制の変化もあり、臨床試験・研究を取り巻く環境も目まぐるしく変わっていますが、WJOG消化器グループは、消化器がんを患う患者さんにより良い治療を提供していくことを目指して、今後も活動を続けていきます。
(山崎 健太郎 / 川上 賢太郎)
FLAG(WJOG消化器グループの若手会)のご紹介
FLAG(Field to develop next Leaders Activating WJOG)は、WJOG消化器グループの活性化を目的として2018年に発足いたしました。名前の由来は若手から新たなWJOGの旗ふり役を輩出する、若手がWJOGのflagshipとなる、との意味で、現在Steering Committeeを含め計47名が所属しております。
今まで実施に携わった研究は観察研究から特定臨床研究そして医師主導治験と多岐にわたり、消化器がんだけではなく臓器横断な希少な遺伝子変異対象の研究も行っております。試験提案に関する議論やメンバー内での勉強会も定期的に開催しており、ASCOやESMOなどの主要学会の後には注目演題を中心にwebでディスカッションを行っています。またドイツの臨床研究グループであるAIO (Association of Medical Oncology of the German Cancer Society) の若手会YMO (Young Medical Oncologist) と毎年1回 Joint Conference を開催し、国際的な活動にも務めております。
今後も消化器がん患者さんのみならず、日本のがん患者さんの治療に貢献できるよう活動を継続して参ります。
(松本 俊彦)
所属メンバー
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委員長
Kei Muro
室 圭
愛知県がんセンター
薬物療法部
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副委員長
Shuichi Hironaka
廣中 秀一
杏林大学医学部付属病院
腫瘍内科
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副委員長
Kentaro Yamazaki
山﨑 健太郎
静岡県立静岡がんセンター
消化器内科
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副委員長
Hisato Kawakami
川上 尚人
東北大学病院
腫瘍内科
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FLAG長
Kenro Hirata
平田 賢郎
慶應義塾大学病院
消化器内科
役職 | 氏名 | 施設名 | 診療科名 |
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アドバイザー | 兵頭 一之介 | 四国がんセンター | 消化器内科 |
アドバイザー | 朴 成和 | 東京大学医科学研究所附属病院 | 腫瘍・総合内科 |
アドバイザー | 長瀬 通隆 | 佐久総合病院佐久医療センター | 腫瘍内科 |
アドバイザー | 杉本 直俊 | 大阪国際がんセンター | 臨床腫瘍科 |
アドバイザー | 谷口 浩也 | 愛知県がんセンター | 薬物療法科 |
アドバイザー | 細川 歩 | 宮崎大学医学部附属病院 | がん診療部 |
アドバイザー | 森脇 俊和 | 倉敷中央病院 | 消化器内科 |
アドバイザー | 岡本 渉 | 広島大学病院 | がん治療センター |
アドバイザー | 江崎 泰斗 | 九州がんセンター | 消化管・腫瘍内科 |
アドバイザー | 仁科 智裕 | 四国がんセンター | 消化器内科 |
アドバイザー | 安藤 孝将 | 富山大学附属病院 | 第三内科 |
アドバイザー | 牧山 明資 | 岐阜大学医学部附属病院 | がんセンター |
アドバイザー | 佐竹 悠良 | 高知大学医学部 | 腫瘍内科 |
アドバイザー | 西川 和宏 | 大阪警察病院 | 消化器外科 |
アドバイザー | 片岡 幸三 | 兵庫医科大学病院 | 下部消化管外科 |
アドバイザー | 松本 俊彦 | 一宮西病院 | 腫瘍内科 |
アドバイザー | 舛石 俊樹 | 愛知県がんセンター | 薬物療法部 |
アドバイザー | 伊澤 直樹 | 聖マリアンナ医科大学病院 | 腫瘍内科 |
代表的な実績
WJOG4007 | Hironaka S, et al. Randomized, Open-label, Phase III Study Comparing Irinotecan With Paclitaxel in Patients With Advanced Gastric Cancer Without Severe Peritoneal Metastasis After Failure of Prior Combination Chemotherapy Using Fluoropyrimidine Plus Platinum: WJOG4007 Trial. J Clin Oncol. 2013;31(35):4438-4444. |
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WJOG4407G | Yamazaki K, et al. Randomized phase III study of bevacizumab plus FOLFIRI and bevacizumab plus mFOLFOX6 as first-line treatment for patients with metastatic colorectal cancer (WJOG4407G). Ann Oncol. 2016;27(8):1539-1546. |
WJOG7112G | Makiyama A, et al. Randomized, Phase II Study of Trastuzumab Beyond Progression in Patients With HER2-Positive Advanced Gastric or Gastroesophageal Junction Cancer: WJOG7112G (T-ACT Study). J Clin Oncol. 2020;38(17):1919-1927. |
WJOG7312G | Nakajima TE, et al. Randomized phase II/III study of 5-fluorouracil/l-leucovorin versus 5-fluorouracil/l-leucovorin plus paclitaxel administered to patients with severe peritoneal metastases of gastric cancer (JCOG1108/WJOG7312G). Gastric Cancer. 2020;23(4):677-688. |