- 西日本って名前がついていますが、地域限定ですか?
- いいえ。名称は西日本がん研究機構ですが、北は北海道から南は沖縄まで全国幅広い地域の医療機関が参加されています。詳しくは WJOG多施設共同研究実施病院一覧をご参照ください。
- なぜ西日本という名前がついているのでしょうか。
- WJOGの前身は 1991年に大阪でつくられた西日本肺癌治療共同研究グループです。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)という多施設共同臨床研究グループのライバル組織となるべく、西日本各地の病院に勤務する内科医師が集い、結成されました。その後、西日本胸部腫瘍臨床研究機構(WJTOG)という名称に変更されたあと、2007年に多臓器の研究グループとして、西日本がん研究機構(WJOG)に名称を変更しました。つまり、東のJCOGに対抗して西の臨床研究グループとしてWJOGと名乗りました。参考モデルとしては、米国におけるECOGやSWOG、RTOGといった複数ある臨床研究グループです。
- 臨床研究というのは、人体実験なのでしょうか。
- 広い意味では人体実験に該当します。現在の医療は完全に満足できる結果が得られているわけではありませんから、手術も薬物治療も放射線も様々なところで改善、改良を目指しています。新しい薬剤は次々と開発されていますが、全てが安全で有効というわけではありません。そこで、動物実験などを経て安全性と有効性が確認されて、その中でもとくに現在の治療よりも良い治療である可能性が高い薬剤が選択されていきます。開発の段階では、有効性も安全性も十分な情報があるわけではありませんので、今までわかっている情報を詳しく説明した上で、患者さんに自由意思で参加いただくかどうかを決めていただき、同意を頂いた場合に臨床試験が行われます。ただし、参加いただく患者さんの安全性を守るために、倫理的に問題がないかを第三者に厳しく評価頂き、承認された場合におこなわれます。
臨床研究は、目の前の参加される患者さんのメリット(治療効果)を期待して行われますが、それと同時に将来の患者さんの治療効果を改善するために行われます。担当医師は、高い倫理観を求められています。
- 臨床研究を受ければ、普通の治療よりも良い治療が受けられるのでしょうか。
- 臨床試験では、現時点で最も良いとされる医療(標準治療)を強く意識しています。したがって、新しい有望な治療と比較する場合は、標準治療と比べることになります。保険診療では行えない有望な新薬は治験として行われていますので、参加条件を満たせば保険診療で受けられる治療よりも有効な治療が受けられる場合はありますが、条件は厳しく実施施設も限られますので、まずは主治医とご相談ください。
- 臨床研究を受ける場合は、保険は使えるのでしょうか。お金はどのくらいかかるのでしょうか。
- WJOGで行われている臨床試験の大半は、保険診療内でできるものですので、通常の診療とほぼ変わりません。なお、高額療養費制度が活用できますので、自己負担については収入によって上限が設定されています。
- WJOGの臨床試験を受けたいのですが、どうしたら受けられるのでしょうか。
- まずは、現在かかりつけの主治医とご相談ください。臨床試験を紹介しているホームページを印刷して診察時に持参されると良いかもしれません。それぞれの臨床試験では、参加いただく患者さんの適格条件(試験に参加していただくためにはすべて満たす必要があります)と除外基準(これに該当すると参加できません)が決められています。これらの条件は、患者さんの安全を守り治療効果をきちんと正しく判定する必要があるため、定められています。その上で、条件を満たしそうな場合は、主治医から参加施設宛に臨床情報提供書(紹介状)の作成を依頼してください。受診予約はかかりつけ施設の連携室等がある場合はそちらで依頼されたほうが、スムーズです。
- 臨床試験に参加するメリットはありますか? デメリットはなんですか?
- それぞれ臨床試験は目的(メリット)があって、わざわざ標準治療ではない治療を提案しているわけですので、そのメリットが受けられる可能性はあります。臨床試験によってメリットは異なりますが、基本的には患者さんのメリットになること(病変が小さくなることや生存期間が延長することなど)ですので、担当医にご確認ください。
デメリットは、通常の診療とはことなり、臨床試験実施施設でないとその治療が受けられないこと、採血やCT検査などのスケジュールが決まっていることなどです。基本的には、標準治療と同じような治療を目指して行われることが多いのですが、治験などでは、制約がある場合もありますので、担当医にご確認ください。
- いま治療を受けている病院では臨床試験が受けられないのですが、どうしたらいいですか
- 担当医とご相談ください。ご希望の臨床試験の参加施設にご紹介してもらうのも一つの選択肢です。ただし、今後もいろんなことで現在の担当医の先生に診療していただくこともあるでしょうから、できるだけきちんと理解していただいて良好な関係を維持してください。
- 民間療法でおすすめできるものはありますか?
- 一概におすすめできるものはありません。臨床試験や通常の診療に影響を与えるものもあるかもしれません。主治医の先生にご相談いただくか、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターにお問い合わせください。
- 未承認薬はどうしたら使用できますか?
- 未承認薬は基本的に有効性も安全性もわからないので、厚生労働省から承認されていません。ただし、他の癌腫で承認されている薬剤について、遺伝子解析などによって効果が期待できるような場合は、患者申出療養制度というものがあります。また、今後の承認を目指した、治験という臨床試験が行われているものもあります。これらは実施施設(治療が受けられる病院)は限られていますので、まずは主治医とご相談ください。
- がんに効く食事とか、抗がん剤の副作用を減らす食事はあるのでしょうか。できれば、白米よりも玄米のほうがいいのでしょうか。免疫力を高める食事というのは、どういうものがあるのでしょうか。
- がんに効く食事というのは、わかっていません。副作用をへらす食事もわかっていません。あえて言うなら、偏った食事ではなく、バランス良く食べてください。ただ、病気の症状や副作用によって摂れる食事内容に偏りが出てしまう場合はあるかもしれません。そんなときは、食べられるものを食べられるだけで良いと思います。無理をしてもいいことはありません。白米よりも玄米のほうがビタミンEやビタミンB6 食物繊維などが多く含まれることはわかっていますが、あえて玄米にしたほうが良い、と言えるほどの根拠はありません。現代では、よほどの偏食でなければビタミン欠乏のリスクはほとんど有りませんから、通常の食事で良いと思います。書店にはあえて特定の食材を勧める書物があるかもしれませんが、科学的根拠はほとんどありませんので、病院で提供される食事もほとんどそいういう偏った食材が用いられたりしていません。 免疫力というものは 具体的な数値で測定できるものではありませんので、とくに免疫力を高めるための食事というものはわかっていません。何度も言いますが、偏らない普通の食事、美味しいもの、食べたいものを無理しないで食べられるだけ食べる、で良いと思います。
- 主治医に質問するのがはばかられて、なかなか質問できません。色々聞きたいことがあるのですが、どうしたらいいでしょうか。
- そういう方がいらっしゃるのはわかります。聞きづらいとは思いますし、忙しそうにしてて不機嫌そうな医師に質問するのは、勇気がいりますよね。それでも、あなたの病気について一番くわしいのは、主治医の先生です。まずは主治医の先生に聞きやすい質問からでも聞いてるのがいいと思います。それでも聞きづらいことなどは、その病院に患者相談窓口があれば、そちらで聞いていただくと、回答が得られるかもしれません。また、がん診療連携拠点病院には、かかりつけの方以外でもどなたでも相談にのってくれる がん相談支援センターがあります。最寄りの施設にお問い合わせるのも一つの方法でしょう。
- 主治医がカルテばかりみて、こちらの顔を見てくれません。ボソボソ言ってて何を言ってるかわかりません。
- 大変申し訳ありませんでした。今から改めます。
- 主治医が手書きで説明を書いてくれたのですが、字が汚くて読めません。なんて書いてあるのですか。
- 申し訳ありません。私もよく字が汚いとクレームを受けます。書いた本人に直接お問い合わせください。
- 待ち時間が長いのでなんとかしてください。
- 申し訳ありません。一人ひとり、きちんとお話を伺ってきちんと対応したいので、どうしても少しおまたせしてしまう場合があります。ただし、WJOGの問題ではないので、こちらでは対応いたしかねます。
- 主治医の先生を替えてほしいのですが、どうしたらいいでしょうか。
- 医療者とのコミュニケーションは良好な方が、治療にとっては良いのですが、対人関係なので、どうしても難しい場合はあると思います。担当医を替えてほしい、というのは、今までの様々な経緯や相互の不信感などがあるのかもしれません。まずは主治医とよく話をしてお互いの誤解をとってほしいと思います。それでも難しい場合は、かかりつけの病院に相談窓口や相談支援センターがある場合は、そちらで相談されるのが良いでしょう。
- WJOGのロゴはなぜカニなんですか?
- 癌は英語でCancerですが、実は星座の蟹座もCancerといいます。ドイツ語ではKrebsと言いますが、これにもカニという意味があります。古代ギリシアの医師ヒポクラテスが癌をカニに例えたと言われています。