臨床試験情報

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第III相WJOG16923L (STEP UP trial)

臨床病期IA3期の肺野末梢充実型非小細胞肺癌に対する肺葉切除と区域切除のランダム化比較第Ⅲ相試験

上垣内 篤
広島大学病院
呼吸器外科
Point
最近発表された大規模臨床試験(JCOG0802/WJOG4607L)により、肺野末梢の2 cm以下の肺癌に対しては、肺の切除範囲が少ない「区域切除」が従来の標準手術である「肺葉切除」と比較して予後が劣らないばかりか、優れることが示されました。肺癌以外の他病死が「区域切除」で少なく、肺の温存により身体への負担が軽減され、予後の向上に貢献したと考えられています。さらに、悪性度が高いと考えられている薄切CT上の充実型肺癌に対しても区域切除による生存利益を認め、2cmを超える充実型肺癌にも区域切除を適応できる可能性が示唆されています。一方で区域切除では局所再発のリスクが高まる可能性もあり、区域切除と肺葉切除のどちらが有効な治療法かは不明です。そこで本試験は臨床病期IA3期(2 cmを超え3 cm以下)の肺野末梢充実型非小細胞肺癌の患者さんを対象として、区域切除の臨床的有用性を、標準治療である肺葉切除と比較し評価することを目的としています。本試験の結果により、早期肺癌の患者さんに対し、より有効で身体への負担が少ない手術法が確立されることを期待しています。