臨床試験情報

登録受付中の臨床試験

登録受付中の臨床試験

第II相WJOG18123B (SAKURA)

アロマターゼ阻害薬による手指の関節痛またはこわばりに対するエクオール含有食品の有効性を検討するプラセボ対照ランダム化試験

寺田 かおり
秋田大学医学部附属病院
乳腺・内分泌外科
Point
ホルモン受容体陽性の閉経後乳癌患者さんは、ホルモン療法としてアロマターゼ阻害薬を内服しますが、女性ホルモンであるエストロゲンの枯渇により、更年期症状や関節痛などの副作用を生じることがあります。なかでも関節痛は、服薬開始後に約半数の方に発現し、一般的な鎮痛薬の内服が勧められるものの、有効な対応は確立していないのが現状です。一方、大塚製薬が開発し販売しているS-エクオール含有食品「エクエル」は、エクオールという物質を産生できない体質の方(日本人の中高年女性の約半数と言われます)において、更年期のエストロゲンの枯渇により生じる手指の関節痛、こわばりなどに対する有効性を示しました。そこで今回、「WJOG18123Bアロマターゼ阻害薬による手指の関節痛またはこわばりに対するエクオール含有食品の有効性を検討するプラセボ対照ランダム化試験(SAKURA)」で、更年期症状と同様に、アロマターゼ阻害薬による関節症状をエクエルで改善できないか検討することと致しました。35施設が参加して試験が行われます。

第III相WJOG16923L (STEP UP trial)

臨床病期IA3期の肺野末梢充実型非小細胞肺癌に対する肺葉切除と区域切除のランダム化比較第Ⅲ相試験

上垣内 篤
広島大学病院
呼吸器外科
Point
最近発表された大規模臨床試験(JCOG0802/WJOG4607L)により、肺野末梢の2 cm以下の肺癌に対しては、肺の切除範囲が少ない「区域切除」が従来の標準手術である「肺葉切除」と比較して予後が劣らないばかりか、優れることが示されました。肺癌以外の他病死が「区域切除」で少なく、肺の温存により身体への負担が軽減され、予後の向上に貢献したと考えられています。さらに、悪性度が高いと考えられている薄切CT上の充実型肺癌に対しても区域切除による生存利益を認め、2cmを超える充実型肺癌にも区域切除を適応できる可能性が示唆されています。一方で区域切除では局所再発のリスクが高まる可能性もあり、区域切除と肺葉切除のどちらが有効な治療法かは不明です。そこで本試験は臨床病期IA3期(2 cmを超え3 cm以下)の肺野末梢充実型非小細胞肺癌の患者さんを対象として、区域切除の臨床的有用性を、標準治療である肺葉切除と比較し評価することを目的としています。本試験の結果により、早期肺癌の患者さんに対し、より有効で身体への負担が少ない手術法が確立されることを期待しています。

第II相医師主導治験WJOG14020B (OPERETTA)

gBRCA1/2遺伝子変異を有するトリプルネガティブ原発乳がんに対するプラチナ製剤、PARP 阻害剤および抗 PD-1抗体薬を用いた新規術前および術後補助療法を評価する第Ⅱ相多施設共同医師主導治験

高橋 侑子
岡山大学病院
乳腺・内分泌外科
Point
再発高リスクの臨床病期IIーIII期のトリプルネガティブ乳(TNBC)ではKEYNOTE522試験結果から免疫チェックポイント阻害剤を含めた術前および術後補助療法が標準治療となっています。また、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因であるgBRCA1/2遺伝子変異は、TNBC全体の15〜19.5%に認められるとされており、gBRCA1/2遺伝子変異を有するTNBCに対して、ポリアデノシン二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬による治療が、再発高リスクの方に標準治療の一つとして術後療法として選択されますが、このPARP阻害薬やプラチナ製剤のTNBCの術前療法での有効性に未だ一定の見解が得られていません。本研究は、TNBCのうち、gBRCA1/2遺伝子変異を有するTNBCに注目して、これまで有効性が期待されるPARP阻害薬やプラチナ製剤、およびタキサン療法に免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせて術前から治療することで、ターゲットを絞った個別化治療により治療効果が高まることを期待しています。